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経年変化を感じる
- as it is 中村好文 -
千葉県長生郡長南町に佇む美術館、as it is (1994-) の紹介です。設計は中村好文さん。
as it is とは、そのまま、あるがままという意味です。
2018年の12月。近くの公衆トイレの駐車場に車を停めて、こっちか・・・?
と不安に思いながら歩くと5分程でそれらしき建築が見えてきました。
美術館というよりは一軒家と表現するほうが合っている感じ。
自然素材は年数が経てば経つほど味が出てきます。
シャキッとした新しい感じはありませんが、しっとりした色気は自然素材でないと出せないものです。
入口はこちら。
入っていいのか?と悩んでしまう程の住宅感。
中に入るとすぐ吹き抜け。
低い入り口を通った後のギャップは余計に広さを感じました。
受付のご婦人から、中村好文さんが作成した、住んだ場合の想定家具配置写真を見せて頂きました。
展示のある現在は住むイメージが湧きませんが、住めるようにも考えていたようです。
私が好きなのはこの窓。
高さを低く抑えて室内が必要以上に明るくならないようにしつつ、
室内から外を見る視線が外の目隠しを越えないように工夫されています。
床も地面に近く、お庭との一体感が素敵でした。
お庭って頑張ってお手入れしていても木以外のグラウンドカバー(下草)はあまり窓から見えなくて寂しいんですよね。
as it is らしい素敵な外壁。
地産地消でその土地の土を使用し、自然素材で外壁をデザインしたそうです。
驚かれると思いますが、外壁はひび割れを起こしていますが大丈夫なものです。
実は、外壁は大きく分けて2種類あります。
- 塗料で外壁に防水の膜を作り、風雨から建物を守る
- 自然素材で雨がしみ込んでも乾燥した日に水分を吐きだす
asitisでは2のタイプということです。
一般的には1のタイプなので、外壁が割れていたら雨漏りが発生します。
ご自宅はどっちでしょうか。注意してくださいね。
細部まで懐かしさを感じる工夫がありとても見応えのある建築でした。
この建築から家の間取りに活かせるポイントは、
○自然素材は経年変化で色気が出る
○落ち着く部屋を作るには光を絞ることも有効
○木以外の植物を窓から見えるような工夫はできる