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和風建築から学ぶ
- 旧猪股邸 吉田五十八 -
和風のデザインは好きですか?
古民家カフェが好き。
という方はたくさんいらっしゃると思いますが、
和風のデザインの家にしてください。という声はあまり聞きません。
- 畳の部屋はバリアフリーでない
- 古い感じがして嫌だ
- 暗いイメージ
こんなイメージがあるんだと思います。※私は大好きです
ですが、実は和の建築から住宅の設計の学べる所はたくさんあります。
もしお好みに合わなくても、視点を変えて見てみると新しい気づきが得られます。
個人的には最新の住宅雑誌よりも参考になると思います。
こちらは世田谷区成城にある庭園のある旧猪俣邸(1967-)です。
設計は吉田五十八さん。
– おもてなしの場 –
①門
こちらは内側と外側、パブリックとプライベートを分ける工夫の一つです。
近年の住宅は道路から直接玄関が見える家が増えてきました。
予算の関係でお庭にお金を掛けられないという事情があると思いますが、
やはり和風建築でいう門のような一度視線が止まる工夫を作れると落ち着きます。
塀を程よく立てたり、植栽を植えたりでも十分です。
玄関側から門を見た様子です。
よく見ると左側に腰かけスペースがあります。
②ちょっとした来客を対応する腰掛けスペース
少しお話しするには屋根もあって、居心地良さそうなスペースですよね。
お庭からのにおいや風の流れが気持ちよさそう。
③玄関はタイルではなく天然石
玄関の床に使われている石は玄昌石。
天然石は反射光がきれいで落ち着きます。
実際に見るとタイルとは一味違う印象があります。
– 開口部のデザイン –
和風建築のとても素敵なポイントは陰影です。
旧猪俣邸でも細部に工夫が見られます。
①扉の枠(木部)や外壁の工夫
斜めにカットされています。
スッキリした見た目で陰影の邪魔をしない工夫は枠材一つでも作れます。
②開口部のようにに見える照明
こちらはお茶室前の水場です。
自然光が見込めない時の明るさ(悪天候など)を確保するため、照明をつけたようです。
周りのデザインに馴染むように障子で照明器具を隠している、開口部に合わせた照明。
実は、昔の和風住宅にはこのような間接照明が多く使用されています。
③中途半端な開口部は作らない
枠の斜めカットの効果もあり、お庭が綺麗に切り取られています。
これをする、と決めた部分は思い切ることも大切。
この思い切った開口部は空間を素敵にしていますね。
いかがでしたでしょうか。
個人的にとても好きな建物で定期的に訪れています。
気軽に見学できますので家づくりの前にはぜひ訪れてみてください。
この建築から家の間取りに活かせるポイントは、
○おもてなしのワンクッションを外に作ると建売住宅とは違う魅力が出る
○間接照明は色々な方法で作れる
○思い切ったプランは自分らしい家への第一歩