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コンセントのこと
-今のくらし方を考えてみる-
家づくりを始める前の皆さんにわかっておいてほしい、とても大事なことがあります。
“私を含め、皆さん個性豊かなくらし方をしています”
自分は普通でこだわりないから大丈夫とお思いの方は特に要注意です。
同棲や結婚生活、ルームシェア等、他人と同居を始める時に価値観の違いに驚きませんでしたか?
皆さん、年月をかけ、歩み寄り、試行錯誤して今の”普通”の生活を作り出したのではないでしょうか。
私たち、建築士はそこにリスペクトを持ってヒアリングや設計提案をしております。
ただ、それでも家が完成するまで気づけなかった、建主さんの”普通”に直面することが多々あります。
では、具体的に普通が共有できていないとどういうことが起こるのか、ご紹介していきます。
今回はコンセントついての”普通”です。
「これだと家電のコンセントが抜き差ししにくいじゃないのー!!」
リフォーム完成後、ご指摘を頂いてしまいました。
この建主さんは、電気代削減の為L型キッチンに置いた家電は使用後毎回コンセントを抜くそうです。
そういう使い方をしていたことは言われたり、見たりしないとわからないのですが、
奥様にとっては30年近くしてきた”普通”の事。
※新しいキッチンの奥行が変わる事はお伝え済みです。
便利になると思ってお金をかけてリフォームしたのに、不便になってしまったら悲しいですよね。
私も不便にしてしまったことが悲しいです。
これは、私の”普通”と、建主さんの”普通”の不一致によるものです。
ここで少し私の話をさせてください。
待機電力のコストを知らなかったのかもしれませんが、
私の実家はコストを削減できるメリットよりも配線が隠れるメリットを好んでいた印象があります。
また、私個人としては建築業界に就職して待機電力を知ってからも、
毎回抜き差しする面倒さの方が気になる性格で今でも差しっぱなしにしています。
差してすぐに使うと壊れる可能性がある家電があることもわかりましたし…などなど…
(と思っていますが、温水便座だけは気になったのでトイレのフタは閉める癖をつけました)
ですので、今でも極力家電の後ろに隠れるようにコンセントを配置する方が喜ばれると思っています。
これが私の”普通”です。
ですが、
今回の奥様は省エネ家電でない時代を経験されている為、節電意識を強くお持ちだったようです。
また、恐らく幼少期からの生活でコンセントを抜くことが当たり前として育ってきたのだと思います。
ゆえに、家電が省エネになったとしても、それが奥様の”普通”なのです。
では、
こういう悲しい結果にならないようにするためにはどうすれば良いのでしょうか。
もちろん最新のものを勉強して普通をわかるようになることも大事なのですが、
私のお勧めは、今住んでいるありのままの家を私たち建築士に見せること。
私も今普通に暮らしていることを全て他人に話すことは難しいです。
「百聞は一見にしかず」
言葉にできなくてもそのくらし方を見れば伝わることもあります。
ぜひお試しください。